軽めの仕上がり (はてな編)

Curiosity is the most powerful thing you own.

寂れたモールや衰退産業の施設は新しい遊び場に改修しよう (追記あり)

※最後に11/21付けの追記あり

 

 今週はお仕事でアメリカに来ています。大統領選直後のアメリカです。州としては民主党に投票したワシントン州なのですが、荒れた輩に巻き込まれたら怖いなあ、と思っていましたが、今のところは杞憂ですんでます。

 昨年はフランスで発生したテロの直後にパリに一週間行ってきたのですが、マシンガンのトリガーに指を掛けたおまわりさんがワラワラ歩いていて、どこに入るにもジャケット脱いで鞄開けてというのに疲れ果てたのに比べると平和です。ニューヨークからこちら(西海岸)に合流した同僚に聞くかぎりではニューヨークはそれなりに盛り上がっているようでした 。有名なジュリアーニ元市長がトランプ支持を表明した事もあるのかもしれません。

 9.11テロのニューヨーク市のかじ取り高い評価を受けた彼にしてみれば、トランプ大統領の方が御しやすいという事なのでしょうか? 国務長官の最有力候補と言われていますので、色々な意味で優秀な方なんでしょうね。ってまた大統領選の方に話が。。。

今回は出張中なので雑記。

❖もしかすると千葉県は最強かもしれない

CNN.co.jp : 米連邦航空局、トランプタワー上空の飛行を制限 - (1/2)

 と、言ってるそばからなんですが、今回はトランプさんじゃなくて、ドローンの話。

 サーフィンに行ったときに天候回復や休憩している時にドローンでもやったら楽しいかなぁ、なーんて思っていて密かに買いたいと思っているのですが、いきなり墜落は怖いので練習とか必要だような、と思って調べたところ、都内はほぼ飛行禁止。民泊禁止の比じゃありません。これじゃ練習出来ない。。。

www.dji.com

 しかし、いつもサーフィンでお邪魔している千葉の外房エリア、富津から先の内房エリアはほぼ全開でOK。さすがは千葉県、日本の盲腸としてゆるぎない解放感です。

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↑DJI社の『安全飛行フライングエリアの制限』のページよりキャプチャーさせていただきました。最新の情報は同社のページなどで必ずご確認頂きたく。

 千葉県は豊富な海岸線もさることながら、ゴルフ場の数も全国有数ですので、個人的には、アウトドア系レジャーの一大集積地になっていただきたいと考えています。

 ゴルフ場に関しては、オリンピックで取り上げられたり、ジュニア育成など業界関係者の努力も継続されていますが、温泉や城といった後背地に恵まれているエリアならばともかく、アジアの富裕層を取り込みながら国際化を進めてパイを広げていく事も戦略としてはアリですが、そういった要件を特に満たしていない周りは田畑と雑木林、といった典型的な関東近郊のゴルフ場の場合、日本の人口推移に任せている限りははじり貧は免れ得ません。

 一方で、MTB、スケートボード、インラインスケートといったXスポーツ系、トレイルラン、サバゲーといったレジャーについては既存のレジャーとのバッティング ( 例えばトレッキングとトレイルランなど) もあって「やりたいけど機会が限られる」事が普及の足かせになっている側面もあると思います。*1

 いずれにしても、中期的に見て経営環境が厳しいゴルフ場はオートキャンプ場を併設して、上記のようなレジャー設備や体験農場といったものを備えた施設に改修したりすれば、面積あたりの収益性はいい線行くんじゃないでしょうか。まったく鉛筆を舐めてないジャストアイデアですが、時代感覚的に間違ってない気はします。

 その結果として「アウトドアするなら千葉」というポジションがより強固になる気がするのですが、知事、どうでしょうか?

 別に私は千葉県の商工観光課勤務でもアンバサダーでも無いのですが、東京のとなりに遊びの宝庫が出来るのは人口減少の社会においては悪い話では無いのではないかと。

 ❖そして気になる廃墟問題

さて、タイトルにもある「寂れたモール」問題です。

www.j-cast.com

 とかピエリ守山といった横綱級が有名ですが、ここなんかも躯体を活かすという意味ではサバゲー場もいいですし、外壁はボルダリング、内部はドローンレース場にするとかどうでしょうか。

 eスポーツなんかもそうですが、ドローンレースは海外では結構メジャーになっています。

thedroneracingleague.com

 この辺の新しい遊びやスポーツをくまなく拾い上げるレッドブルも既に参画していますので、時代が認めた遊びと言っていいでしょう。

www.redbullracing.com

 こういった新しい遊びのニーズに対して、どうも日本は既存の規制や古い価値観が邪魔をして、disruptive innovation がもたらす新しい市場を活かしきれていない気がします。今回の主題のドローンに関しては

ドローンの市場(機体+サービス)は、
 • 2020年には634億円に成長すると予測(2015年比約16.7倍の市場)
 • 2020年以降さらなる市場拡大が見込まれ、2024年には2,270億円を超えると見込む
サービス分野別には、
 • 2016年時点では農業用が50%強を占める
 • 2016年以降は、農業用市場も引き続き拡大するが、整備・点検、測量などの
   市場が大きく伸長すると予測する

といった予測*2も出ています。

 外野として無責任に言わせてもらいますが、廃墟級の施設であれば、ついでに広大な駐車場はセグウェイや自動運転の実験場にするなど、街ぐるみで「造ってしまった箱を何とかする」方法に舵を切るべきかと。

 造った箱を維持する為に「お買い物」という単一目的の割りに競合が多い業態を続けるよりは、多様なニーズに応える施設に少しの改修で業態転換してしまうというのはオプションとして悪くないのではないかな、と。

 ましてや「廃墟」というブランドを纏ってしまってから小売りのテナントを集めるよりは有効な打ち手なのではないかと思います。いくら流行りつづけるショッピングモールを造れたとしても地域ブランドの強化にはつながりません。

 それよりは、あるジャンルのニーズに関しては聖地と呼ばれるまで磨き上げた方が競争優位に立てるでしょう。そうなると一企業に委ねる話では無くて地方自治体としての戦略の話になりますけどね。

  ショッピングモールの本家であるアメリカにおいても、ECの台頭で衰退しつつある業態と認識されていて、モールからオール ( Mall > All ) というコンセプトの修正なども取り込みながら生き残りに必死な様子もうかがえます。

The Economics (and Nostalgia) of Dead Malls 

by Nelson D. Schwartz Jan.3, 2015 / The New York Times

 2015年の記事ですのでやや古いとはいえ大きな市場の流れは当時と変わりません。ちょうど投宿しているホテルの目の前に街の中では最大のショッピングモールもありますので、サイバーマンデー前のモールの様子がどんな感じなのかを明日は眺めてこようかと思います。差し支えの無い範囲で写真を撮って後日追記出来ればと思います。

眺めるだけでは申し訳ないので、売上にも貢献する所存であります。

 

❖11/21 追記

 初稿の最後で触れた通り、

サイバーマンデー前のモールの様子がどんな感じなのかを明日は眺めてこようかと思います。差し支えの無い範囲で写真を撮って後日追記出来ればと思います。

 ショッピングモールで変質者扱いされない程度に写真撮りながら観察してみました。

 今回はシアトルのダウンタウンでは無く、車で30分くらいの距離にあるBellvue という街です。どんな街かというと、

  • ワシントン州の州都シアトルの郊外都市で州内では二番目の都市である。
  • リーマンショックの影響も比較的少なく、発展が続いている都市であり、一人あたりの所得はワシントン州522の行政区の中で6位と上位である。*3
  • 人口は134,000人 ( 2013時点)で、日本で言うと東京都武蔵野市ぐらいの人口です。*4

です。

 そんな街の中心部にあるのがこのBellevue Square。入口はあちこちありますが、メインはこちら。

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 アメリカのショッピングモールの例に漏れずなかなか広大です。俯瞰したのが下記のイラストです。( Source : Bellevue Square Expansion | Site Plans ) 

http://bellevuesquareexpansion.com/cms_images/pc-7-26-3-D_AerialMap_1-14_900.jpg

 買い物の中心は Macy's とNordstorom という中級と高級デパートを擁したBellevue Square ですが、そこだけでも500,000sf ( =46万㎡ = 4.6ヘクタール ) という広さです。日本人に馴染みのある変換で言うと、東京ドーム約10個分 ( @46,755㎡) の敷地になります。全体構成としは上図の通りホテルやオフィス、住居なども含んだ都市計画になっていますので更に広大です。

 で、ホリデーシーズンに突入するタイミングなので混んでいるのかと思いきや、それほどでも無かったです。比較的所得水準が高い街とは言うものの、後背地としての人口が13万人程度ですし、そもそも平日という事で劇的な混雑というのはありませんでした。

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 各店舗がそれなりにデコ―ションしてますが、日本みたいに「クリスマス」というワードは全面的には出てこないのはアメリカではお約束ですが、赤白系の装飾の他、Nordstoromなんかは以下のようななかなか良いセンスのコピーで「ここで買っちゃいな」というアピールしてました。

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 ビクトリアシークレット以外の殆どのお店に入りましたが、正直、価格だけで言うなら日本の場合は東京近郊のアウトレットに行けば365日それよれ低価格で手に入るし、福袋はともかく、店頭の大事な役割であるアソートメントに関しては日本のリテールの方が少なくとも色々と考えているような印象を受けました。

 ここは店舗+ECというオムニチャネル全体で収益をどう考えるか、といリテール側の戦略にもよりますので、ひとつのモールのある日の風景を切り取って結論じみた事は言えませんが、マーチャンダイジング密度 (商売っ気と物欲の熱量/ 平米)*5 が全体的に低い印象は受けました。これからホリデーシーズンが本格化するので心配しなくても今はこんなレベル感なのだろうな、と思います。 後日、アメリカのホリデーシーズンの消費動向が色々とレポートされると思いますので、それを眺めつつ、「あの時感じた感覚で結果このくらい」という検算をしてみたいと思っています。

 ちなみに個人的にはしっかりアメリカ経済に貢献してきましたよ。右の袋は子供服。子供服は圧倒的にアメリカが安いので、日本で買うのが馬鹿らしくなります。

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 そうそう、それから本稿では「アウトドアするなら千葉」と千葉アゲしていますが、帰国した日の帰り道、東関東自動車道は成田から船橋あたりまで交通集中で渋滞でした。

 圏央道や2024年まで続くアクアラインの割引で半島側はだいぶ改善していますが、内陸側の道路網の弱さは否定できません。アクアラインの割引も千葉県第二の都市である船橋市を東西に貫く国道14号が未だに片側1車線というのは信じられません。(R357は産業道路とみなす) ここが混むおかげで渋滞が成田くんだりまで伸びてきたのではないかと疑っています。

 このあたりのインフラ整備は「遊びに行く目的地」というポジション獲得においては重要です。せっかく国税と折半して割引を引き延ばしているアクアラインがある訳ですから、これ経由で流入してくる観光客やビジネス客の増加を通じた県の税収アップで内陸も頂きたい所です。

以上、追記でしたー。 

 

 

 

 

*1:このあたりは公益財団法人日本生産性本部のレジャー白書を買って読めばいいのですが、個人で趣味のブログ書く為に買うべきかどうかは大いに悩むお値段です。

*2: 株式会社シード・プランニング 2016/5/6リリース 

*3:ベルビュー (ワシントン州) - Wikipedia

*4:吉祥寺などのオシャレなエリアと杉並区あたりと連なる高級住宅地、井の頭恩賜公園など恵まれた住環境が人気のエリアでございます。

*5:そんな単位は無いですが、売る気と買う気の面積あたりの熱量の総和をカロリーで表すイメージ