個人的に珈琲大好き、かつマーケティングの観察対象として格好の素材だと思っているので、新しい店はまず体験。
コンセプトとしてはご覧の通り。
コンビニコーヒーの嚆矢としてあっという間に市場を作り上げたセブンイレブン。*1 そんなセブン&アイホールディングスが満を持して別業態でコーヒー市場に投入してきただけに興味深い。
個人的には、セブン&アイ = デニーズ = お湯のようなコーヒー、という認知バイアスがかかっているので、これをどれくらい書き換えてくれるかを楽しみに店舗へと向かった。
- アクセスと店舗
多摩堤通りを二子玉川駅から1.5kmほど西へ。仙川をまたいだ先の天神森橋の信号を超えた先の左手にある。もともとデニーズだった場所を建て替えて、2015年12月3日にオープン。5店目、初の路面店とのことで、実験的な意味合いもあると思われます。
店舗の写真忘れたので、Google マップ とストリートビューが更新されたら分からなくなるので、加工版も一応。
駐車場はデニーズ時代のものがそのまま残っているので、15台程度は止められる。が、訪れた日曜の13:00頃は最後の一台で満車となる盛況ぶり。
店内は、こんな感じで。こういうインテリアはなんて言うのかわからないけど、もろバッティングする星乃珈琲やコメダと比べると、明るく開放的な感じで、テラス席も4席程度ありました。そのほかにテーブル席とお一人様向けコンセント&雑誌だな付きダイニングテーブル席、ソファー席などが用意されている。店内禁煙だが、喫煙コーナーがある。ということで、どんな客層もとりあえずOKな懐の広さはファミレス譲りの空間づくりという印象。
なお、満席の場合は受付で名前と電話番号を入れる端末が用意されており、そこに入力して順番待ちすることになる。(店内で待つ場合は電話番号の登録は不要)
- メニュー
コーヒー専門店です。が、コーヒーの品揃えはお世辞にも多いとは言えません。
豆で選ぼうとすると、グァテマラかエチオピアの二択。ハンドドリップかエアロプレスで頼めるようになっており。450円。白ヤギの話(木の実を食べて興奮するヤギを見て、ヤギ飼いカルディがこの実(コーヒー)を発見したと言う説話) を店名に絡めているので、エチオピアのモカは定番として入れてほしい。
残念なのは、食事をしてコーヒーも楽しみたい場合、食事にセットでつけられるのは炭焼きブレンド、おかわり半額というお得なようでデニーズと比べたら高上がりなコーヒーしか選べない。「差額でグァテマラを食後に」なんてことができないのはどうにも残念。結局、セットのコーヒー頼んでから食後に改めてエチオピアを頼むことになりました。
こちらは食事。手前カルボナーラと奥は名前忘れました (ロッソという赤系ソース)のパスタ。ランチ時は茄子のグラタンが付いてくる模様。味は★★☆☆☆ぐらい。カルボナーラに栗が入っていたのは初めて。個人的には栗がダメなのでミスチョイス。
というわけでこちらを頂きながらセットのコーヒーの後に改めてエチオピアを別注。
モカマタリの香りとコクのバランスが好きなので、濃いめのパスタの後にはストレートで飲むのに適したエチオピアかと。もう一方のグァテマラは甘みも強くてカフェラテのイメージなのでパス。
豆別のチャート(香り、苦味、酸味、コク)のカードがついている。アイデアは良いと思うけど、情報が通り一遍なので、豆のグレード情報や生産地の情報とかがあるとコーヒー専門店的なこだわりとかが演出できて良いのではないだろうか。
肝心のエチオピアに求めた香りとコクですが、期待していたよりはマイルドでした。なのでちょっと物足りない感じ。
今回は食べてませんので味についてはコメント出来ませんが、このあたりも推しているようです。「星乃珈琲のヤツを模倣しているね」とは妻の弁。たしかに似たようなのがありました。
と、ここまで書いてみて、趣味の珈琲市場ポジショニングマップをアップデートしたくなったので、それは次回に。
★その他雑感★
- 店舗数についてはFC展開はないと思うので店舗数は一定水準で安定化していくかと。既存のデニーズ改装という形で店舗数増加をするかどうかが見もの。
- メニューについては甘味は星乃珈琲のスフレパンケーキに対する白ヤギパンケーキなど模倣感が強いので、パンケーキ方面の充実はアリ。ただし、こちらも専門店が多数あるので劣化版、廉価版となることを避ける工夫が必要。
- 珈琲専門店を名乗る以上は、豆の充実、水出しやトルコ、ギリシャといった方向性でも良いし、何かしら「ここならでは」が必要と感じる。
- あるいは、色物的ではあるけれど、「インスタントコーヒーも入れ方次第でここまで美味くなる」とかの開き直りもあり。駅でカップラーメン食べたせる日清はすごいと思うし。要は「専門性」としての深さと幅をどういう風に持たせるのかが中途半端な感じがある。
- このちぐはぐ感は客層にも感じられた。二子玉川から歩くには遠く、車で寄るにしても仮に目的地が二子玉川の場合、宇奈根、喜多見、成城学園方面在住でないと動線上に出て来ないので、全てが様子見のような落ち着きかなさがまだ漂っていたのが印象的だった。
- 乳幼児の我が子に椅子を用意してくれて、離乳食も快く容認してくれたり、またせずに料理が提供されるあたりは、ロードサイドレストランとしてのノウハウが遺憾なく発揮されていて、そこは新店舗の割には安定感がある。
- そういったソフト面の強みと、メニューの補正など今後の「熟れ度合い」を日を改めて確認してみたい。車行動派の私にとっては、二子玉川で用事済ませたら激混みの界隈を抜け出してコーヒーを飲める場所ができるのはありがたいので、あまりファミレス方向に振れないように舵取りしていただきたいな、と。