軽めの仕上がり (はてな編)

Curiosity is the most powerful thing you own.

2016年 日本のマーケテイング業界を予測するコラムを読んで

 本日から仕事始め。

 ブログを書くのも久しぶり。子育てと仕事を続けながらブログ書き続けるのって大変だな。毎日、書いている人とか尊敬します。マジで。人生、何に重きを置くか、なんでしょうけど、継続って凄いと思う。今年は何か継続してみよう。

 さて、この時期は年間予測系の記事やコラムがたくさん掲載されるけど、仕事始めの本日、目に留まったのはSNS上で流れてきたこの記事。知人が感化されている風なので読みに行ってみたら小さなため息が出たので一考。

digiday.jp

 はじめに断っておきますが、ここで書かれている事は概ね同意です。間違ってないと思います。ため息が出たのは以下の部分。

従来の宣伝部では、広告を出すことの目的から、これらが曖昧な部分があったと思う。今後、よりROIの計測やシミュレーションに力が入るとともに、それら計測の仕組みが確立されていくと予想される。

 ECやDirect Business に取り組まれている皆さんは軽く10年前(←経験的な比喩ですよ) からその世界でゴリゴリとやってると思うのです。なので、そういう世界に身を置いた事がある人からすると、「何をいまさら当たり前のことを言われるのか」というのが正直な印象。個々のROAS , MOAS を意識しながら全体としてのROIを見ていくのがデジタルマーケティングなら当たり前でしょ、ぐらいな気がしていたので。

      f:id:takao_chitose:20160104101141j:plain

 で、もう一回読み直して、勝手に発見した気になったのは、このセンテンスの味噌は『従来の宣伝部では』の部分だな、と。

 私自身は職歴としていわゆるナショナルブランド的な大企業の宣伝部、そうした企業と組む広告大手代理店に勤めた事が無いので、『従来の宣伝部』というものの実態はしりませんが、社会経験的に何となく想像は出来ます。

 デジタル化される世の中を基準に物事を考えると、かつてのATL / BTL 的な考え方や、多段階流通 ( = 販売は別次元 ) を前提にした認知のあたりをウロウロしているだけの諸活動ではマーケティング予算を正当化出来ない、という問題意識が顕在化しており、そういう意識を後押しする文脈なんだろうな、と理解する事にした。これはここ数年の流れとして間違ってないと思う。

 昨年のWeb研あたりが「脱媒体別戦略」というスローガンを掲げていて、この時に感じた「今さら」感と同じ。

公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 「脱媒体別戦略 ~媒体別戦略から、生活者別戦略へ~」2015年WAB宣言

 この時も、日本の大企業の宣伝部門の方達にとって、こういうのは切実な問題なのだろうなぁ、と感じたし、それは代理店側にとってもしかりだろうな、と。

 実際、このマーケティング組織論的なものって、意識の問題と制度の問題の両側面があるので、経営課題に発展しそうで、現場的には高い壁だと思う。

 私の中で引っかかるのは、「マーケティング部門」や「宣伝部」という従来の組織は残したままに、組織よ変われ、と唱えた所でどうなんでしょうか、というある種の矛盾だ。少なくとも業種・業態・企業規模・企業の発展段階等で役割りは分化しているはずで、それをひとくくりに最大公約数を導き出そうとすると、かえって大事な事が薄まってしまうのではないでしょうか?  という視点です。

 そういう意味でヒントにしたいのが、ガートナーが出しているハイプサイクルです。ガートナーのハイプサイクルは新しいICTテクノロジを時間の経過をX軸に、期待値をY軸に取って、個々の企業に適した「選択」のタイミングを示唆するメソドロジーですが、こういう2軸でマーケティング業界も多様性のあるガイダンスを出せるようにしないと頭打ちなんじゃないでしょうかね。

(参考) 

ガートナー | リサーチ・メソドロジ | ハイプ・サイクル